体の声を 言葉にする習慣 言語化の重要性 〜人生を変えるウォーキング教室〜

こんにちは、理学療法士の大塚です。

体の不調を感じていませんか?

「体が重い」「なんとなく調子が悪い」「どこか違和感がある」

こんな漠然とした体の不調を感じることはありませんか? 実は、この「なんとなく」が問題解決の妨げになっているかもしれません。

私は理学療法士として、これまで数多くの患者さんと接してきました。そこで気づいたのは、体の状態を具体的な言葉で表現できる人ほど、改善が早いということです。

言語化の重要性

脳科学の研究によると、体の感覚を言葉にすることで、脳の前頭前野が活性化と扁桃体の活性抑制がされることがわかっています。前頭前野は、問題解決や意思決定に重要な役割を果たす部位です。さらに多言語に触れることで言語野だけでなく、大脳基底核・視床や視覚野までも活性化されることが明らかになっています。つまり、体の状態を言語化することは、単なる表現以上の意味を持っているのです。

具体的な言語化の効果

例えば、「足が重い」という漠然とした表現を、「右足のふくらはぎが張っていて、特に階段を上がるときにきつい」と具体的に言語化することで、以下のような変化が起きます:

1. 問題の特定が容易になる

  • 部位が明確になる(右足のふくらはぎ)
  • 症状が具体化される(張り感)
  • 状況が特定される(階段を上がるとき)

2. 解決策が見えやすくなる

  • ストレッチの部位を特定できる
  • 生活習慣の改善ポイントがわかる
  • 予防策を立てやすくなる

日常生活での言語化実践

朝の準備時の例

「なんとなく体が重い」という漠然とした感覚を、以下のように言語化してみましょう:

「今朝は首の後ろが張っていて、左に首を傾けると筋が引っ張られる感じがする。昨晩、スマートフォンを見ながら左に首を傾けて寝ていたからかもしれない」

言語化から見えてくる対策

  • 就寝時の姿勢を意識する
  • 朝一番にストレッチを取り入れる
  • スマートフォンの使用時間を考え直す

デスクワーク中の例

「肩こりがする」を具体的に言語化すると:

「右肩の上部が特に凝っていて、マウスを動かすたびにゴリゴリと音がする。2時間くらいパソコン作業を続けていたら徐々に痛みが出てきた」

この言語化から見えてくる対策

  • 2時間おきに休憩を入れる
  • マウスの位置や高さを調整する
  • 肩甲骨をほぐすストレッチを取り入れる

言語化の実例 – 患者さんの体験

先日、60代の女性の患者さんがいました。最初は「歩くのがつらい」という漠然とした訴えでしたが、一緒に状態を言語化していく中で、「右足の親指の付け根が地面につくときにチクチクする」ということがわかりました。

この言語化により、問題点が明確になり、適切な治療法を選択することができました。結果として、2週間で症状は大きく改善したのです。

効果的な言語化の3ステップ

1.「いつ」を特定する

  • 朝起きたとき
  • 長時間座った後
  • 運動した直後 など

2.「どこが」を明確にする

  • 体の部位をできるだけ具体的に
  • 左右の違いはあるか
  • 深い部分か表面か

3.「どんな感じか」を表現する

  • ズキズキ、ガチガチ、モヤモヤなど
  • 痛みの種類(鈍痛、刺すような痛みなど)
  • 強さの程度(10段階で表現)

日常生活での言語化実践例

買い物帰りの場合

「足が疲れた」を言語化すると:

「左足の土踏まずがジンジンして、特に体重をかけると痛みが強くなる。新しい靴を履いて2時間ほど歩き回ったからかもしれない」

気づきから導き出される解決策

  • 靴の履き慣らし期間を設ける
  • 長時間の歩行時は慣れた靴を使用する
  • 足のアーチをサポートするインソールの検討

家事の最中の例

「腰が痛い」を具体的に表現すると:

「洗濯物を干すとき、右の腰に鈍い痛みがある。特に背伸びをして高い位置に干すときに痛みが強くなる」

言語化から見える改善点

  • 洗濯物を干す台の高さを調整する
  • 脚立を使用して無理な姿勢を避ける
  • 腰の筋肉をほぐすストレッチを取り入れる

記録の重要性

言語化したことを記録することもおすすめです。スマートフォンのメモ機能やノートを使って、日々の体の状態を書き留めていくのです。これにより、時系列での変化が把握しやすくなります。

記録による効果の研究結果

ある研究では、体の状態を毎日記録している人は、そうでない人と比べて:

  • 体調の改善が28%早い
  • ストレスレベルが34%低下
  • 睡眠の質が23%向上

ウォーキングにおける言語化の実践

ウォーキング中の言語化例

「今日は調子が悪かった」を具体的に言語化すると:

「30分歩いたところで、左足の外くるぶしあたりがジンジンしてきた。新しい靴下が少しずれて、そこに皺がよっていたのが原因かもしれない。それを気にして、右足に体重をかけ過ぎていた気がする」

この気づきからの改善策

  • 靴下の素材や大きさの見直し
  • 歩き始め前の靴紐の締め直し
  • 左右の体重バランスの意識

ウォーキング後の振り返り例

「今日のウォーキングは気持ちよかった」を具体的に言語化すると:

「いつもより背筋が伸びている感覚があって、特に最初の15分は肩の力が抜けていた。ただ、後半は少し疲れてきて、足の運びが重くなってきた。休憩を入れずに40分歩き続けたのが原因かも」

この気づきからの改善点

  • 20分ごとの小休憩の導入
  • 給水タイミングの設定
  • 途中でのストレッチの追加

データを活用した言語化

歩数計やスマートウォッチの活用例

単なる「今日は8,000歩歩いた」という記録から:

「午前中に3,000歩、昼休みに2,000歩、帰宅時に3,000歩。午前中は会議前で余裕があったので、駅から少し遠回りして歩いた。この時間帯は人も少なくて、自分のペースで歩けた。昼休みは急いでいたので、少し息が上がり気味だった」

詳細な記録からわかること

  • 時間帯による歩きやすさの違い
  • 心拍数の変化と体調の関係
  • より効果的な運動時間帯の発見

グループでのウォーキング時の言語化

「友達と一緒に歩いた」という漠然とした記録から:

「Aさんと一緒に歩いたら、普段より会話が弾んで、30分があっという間だった。ただ、話に夢中になりすぎて、後半は姿勢が崩れがちだった。休憩時に背筋を伸ばそうと意識したら、少し改善された」

この気づきからの学び

  • 会話と姿勢のバランス
  • 定期的な姿勢チェックの重要性
  • 運動継続のモチベーション維持

日常的な言語化の実践方法

言語化のコツは、スマートフォンのメモ機能やボイスメモを活用することです。例えば、通勤電車の中で体の状態をメモするのも良いでしょう。「今朝は右足首が少し張っているな」「昨日より背筋が伸びている感じがする」といった些細な気づきを記録していきます。

また、家族や友人と体の状態について話すのも効果的です。「今日の歩き方はどう見える?」「この姿勢、崩れてない?」といった会話を通じて、自分では気づかない体の変化に気づくことができます。

まとめ

最後に大切なことは、完璧を求めすぎないことです。まずは自分なりの言葉で体の状態を表現してみましょう。それを継続すると徐々に具体的になっていきます。

言語化は、体の声を聴く習慣づくりの第一歩です。最初は適切な言葉が見つからないかもしれません。でも、少しずつでいいのです。日々の小さな気づきを言葉にしていくことで、体との対話が自然とできるようになっていきます。

そして、この体との対話が、より自分自身との対話に繋がっていき、より健康的な生活につながっていきます。

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