朝、目が覚めてからベッドを出る。顔を洗って、歯を磨いて、着替えて、朝ごはんを食べる。これだけの動作の中に、実は人生を変えるヒントが隠れている。
毎日何気なく行っているこれらの動作、あなたは意識して行っているだろうか?
20年の臨床経験から見えてきた「意識」の重要性
理学療法士として20年、のべ40,000人以上の方々のリハビリに携わってきた中で、ある興味深い発見があった。同じ症状や状態の方でも、回復のスピードに大きな差が出るのだ。その違いを生み出す最大の要因が、動作に対する「意識」だった。
人間の行動を分ける2つの要素
人間の行動は大きく2つに分けられる。「受動的」な行動と「能動的」な行動だ。
受動的な行動とは
受動的な行動とは、誰かに言われて行う動作や、無意識のうちに体が勝手に行っている動作のことを指す。朝のアラームで起きる、スマートフォンの通知で反射的に確認する、テレビを観ながらなんとなくお菓子を食べる。こういった行動は全て受動的だ。
能動的な行動とは
一方、能動的な行動は、自分の意思で積極的に行う動作だ。「今日は早起きして散歩に行こう」と決めて実行する、「姿勢が悪くなっているな」と気づいて意識的に背筋を伸ばす、「もっと健康になりたい」と考えて食事内容を見直す。
自動化された行動の落とし穴
実は私たちの生活の多くは、この受動的な行動で成り立っている。これは決して悪いことではない。むしろ、全ての動作を意識的に行おうとすると、膨大なエネルギーを消費することになる。
例えば歩くという動作一つとっても、「まず右足を上げて、膝を曲げて、足を前に出して、かかとから着地して…」と一つ一つ考えながら歩いていたら、どれだけ疲れることか。脳は効率的に働くように設計されているので、繰り返し行う動作は自動化してエネルギーを節約しようとする。
意識的な動作がもたらす変化
変化は小さな「意識」から始まる。全てを変える必要はない。日常生活の中で、一つか二つ、意識的に行う動作を決めてみる。それを続けることで、少しずつ体の使い方が変わり、生活が変わり、そして人生が変わっていく。
例えば
- 朝起きて2分間だけ外の空気を吸う
- 布団から出る前に左右一回ずつだけ体を捻ってストレッチをする
- 歯磨きの時に足踏みをする
といったちょっとしたことを一つ意識的に行なってみるだけでいい。
まとめ
まずは朝、目覚めてからベッドを出るまでの動作を意識的に行ってみてはどうだろうか。ゆっくりと体を起こし、足をベッドの外に降ろし、しっかりと地面を感じながら立ち上がる。
そう、小さな意識の積み重ねが、あなたの人生を大きく変えていく。一歩一歩、能動的な選択を重ねていくことで、より健康的で充実した日々を手に入れることができるはずだ。