「なぜこんな靴を買ってしまったんだろう」
新しく購入したウォーキングシューズのはずなのに、歩くたびに後悔が込み上げてくる。僕は靴選びで重大な過ちを犯していたのだ。
靴選びの重要性:大塚の痛い経験から
長年、僕は26.5cmの靴を履いていた。しかし、ある日思い切って足のサイズを測定してみたところ、実際には25cmだったのである。「まさか」と驚愕したが、これは足の形状が変化したわけではない。僕がずっと間違った認識を持っていただけだったのだ。
この衝撃的な発見は、僕に靴選びの重要性を痛感させた。文字通り、痛みを伴って体感したのである。土踏まずの部分が常に靴に当たり、長時間の歩行で激しい痛みを引き起こしていたのだ。
靴のサイズが合っていないことで生じる問題は、単なる不快感にとどまらない。歩行フォームの崩れ、姿勢の乱れ、さらには足や膝、腰への悪影響まで及ぶ可能性がある。僕の場合、幸いにも長期的な障害には至らなかったが、この経験は靴選びに対する認識を根本から覆すものだった。
最適な靴を見つける方法
1. 正確な足のサイズを知る
まず、最も重要なのは自身の足のサイズを正確に把握することだ。これが意外にも難しい作業だということを、僕は身をもって知った。JIS規格では、足長と足幅の両方を測定することが肝要だ。特に、海外ブランドの靴を選択する際は細心の注意が必要である。
足のサイズ測定方法:
足長
- 壁を背にして紙の上に立ち、一番長い指のところにチェックをつける
- かかとの端からチェックまでの長さを測る
足囲
母指の付け根から小指の付け根までの最も広い部分の周囲を測る
- 立って足に体重がかかっている時
- 座って足に体重がかかっていない時
これで自身の足のサイズが判明する。
2. 海外ブランドの靴を選ぶ際の注意点
海外の靴はアメリカンサイズは日本のサイズより約1cm大きい。イギリスサイズであれば0.5cm差がある。この知識がなければ、良質な靴を購入しても、足が滑って歩行困難になる可能性がある。僕のように、誤ったサイズ認識で長年不適切な靴を履き続けるという事態も起こりうるのだ。
外国の靴サイズと日本の靴サイズの主な違い:
- 表示方法の違い:
- 日本:足長/足囲
- 外国:主に足長/足幅
- サイズの基準:
- 日本:「足入れサイズ」(実際の足のサイズ)
- 外国:「靴型(ラスト)サイズ」(靴の内部サイズ)
- 主要な外国のサイズシステム:
- イギリス:インチベース、足長は数字、足幅はアルファベット
- アメリカ:イギリスに似ているが、起点が若干異なる
- ユーロ(フレンチ):cmベース、通常足幅表示なし
- 日本と外国のサイズ換算の注意点:
- 外国サイズには通常「捨て寸」(余裕)が含まれている
- 例:ユーロサイズ36は日本の23cmに相当するが、実際の靴の内寸は約24cm
3. 適切な靴の選び方
- つま先に1cm程度の余裕があるのが理想的
- 歩行時に踵が靴から浮かないかチェック
- 紐靴を選択し、つま先が曲がるものが適切
- 両足とも試着すること(左右でサイズが異なることがある)
- 普段履く靴下を着用して試着する
僕のように、サイズを測定せずに幅の広い3Eや4Eサイズを選択してしまう人も多い。しかし、これは誤りである。サイズが適合しないと、歩行時に足が靴内で動いてしまう。結果、歩行困難となり、疲労が蓄積されやすくなる。
さらに、厚底でクッション性の高い靴を選択しがちだが、これも要注意である。確かに歩行しやすそうに見えるが、実際には地面からの感覚が伝達されにくくなる。姿勢や歩行フォームが崩れやすくなるのだ。
4. 正しい履き方
- 踵をトントンと軽く叩いて、靴に合わせる
- 靴紐を結ぶ際、つま先と足の付け根の部分をしっかりと閉め、足の甲の部分は緩やかに締める
この履き方のポイントは、足を靴にしっかりと固定することにある。こうすることで、道具の身体化といって脳が靴を体の一部として認識してくれやすくなるのだ。特に、つま先と足の付け根をしっかり締めることで、歩行時の足のズレを防ぐ。一方で、甲の部分は緩やかに締めることで、血流を妨げず、足を浮かした時はフィットし、地面について若干足の幅が変化しても締め付けることなく快適な歩行を可能にする。
適切な靴選びがもたらす効果
僕の失敗から学んでほしい。正確なサイズの靴を履くだけで、歩行が楽しくなる。足の痛みが消失し、より遠距離の歩行が可能となる。そうすれば、新たな景色も目に入るはずだ。
実際、適切な靴を見つけてからの僕の生活は大きく変わった。以前は30分の歩行でも足が痛くなっていたのが、今では1時間以上歩いても快適だ。毎日の10,000歩のウォーキングは日課になっている。靴選びが適切になったことで、運動の幅が広がり、健康的な生活を送れるようになったのだ。
さらに、正しい靴選びは精神面にも良い影響を与える。歩くことが苦痛でなくなれば、外出の機会も増える。新しい場所を訪れたり、友人と散歩を楽しんだりする機会が増えるのだ。これは単なる運動効果だけでなく、社会的な交流や精神的な充足感をもたらす。
靴のメンテナンス
- 使用後は、中敷きを取り出して乾燥させること
- ソールが摩耗してきたら交換のサイン
- 定期的に運動する人は、靴の寿命に注意を払う必要がある
まとめ
靴選びは、単なる日用品の購入ではない。それは健康的で活動的な生活への第一歩なのだ。自分の足に合った靴を見つけることは、自分自身の身体と向き合うことでもある。
さあ、今から皆さんも、自身の足に最適な靴を探してみよう。「ザッ、ザッ」という心地よい足音と共に、新たな世界が広がっている。適切な靴との出会いが、あなたの人生を大きく変える可能性を秘めている。
参考文献
- Buldt AK, Menz HB. Incorrectly fitted footwear, foot pain and foot disorders: a systematic search and narrative review of the literature. J Foot Ankle Res. 2018;11:43
- Maden T, et al. Investigating the effects of appropriate fitting footwear on functional performance level, balance and fear of falling in older adults: A comparative-observational study. Geriatr Nurs. 2021;42(2):485-491
- Branthwaite H, et al. Footwear comfort: a systematic search and narrative synthesis of the literature. J Foot Ankle Res. 2020;13(1):69
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